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「はぅ~☆猫かぁいいよ~!!」 いつものように『機関』に集まった僕等。 森さんがどこで見つけたか知らない生物(ナマモノ)をぎゅっと抱きしめている。 「あ、あちしを殺す気かー!!」 その謎の生物(ナマモノ)はずっとそう叫び続けている。 「やれやれ。『機関』にあんなもの持ち込まないで欲しいですね」 僕の隣で優雅に紅茶とココイチのカレーを頬張る女性が呟く。 それで、カチンと来た。怒り頂点を貫いて噴火。 「・・・あのですね」 「はい?」 「『機関』は『機関』でも、『埋葬機関』じゃなぁぁぁぁぁあぁあああいぃぃっっっ!!」 「「「「な、なんだってー!?」」」」 「死徒二人と第一位、七位全員帰って下さいッッ!!」 僕はスタンローブの怨念を四人に向かって投げつけた。 「「「「ギャー!!」」」」 彼じゃないけど、こう言いたくなる。 やれやれ、って溜息と共に。 「生徒会長のアナル掘ってくるか」 新川さんのそんな一言に更に溜息が出る。 「猫ー!!猫ー!!ほ、ホァーッ!!」 「ニャーッ!!」 森さんと生物(ナマモノ)に対して更に溜息が出る。 「兄さん。クッパをどうやって倒せるかな」「どうだろうな」 「多丸兄弟何をやってるんですか?」 「「マリオブラザーズのコスプレ」」 ・・・・・どうやら、今日も『機関』は平和なようです・・・・・。 ・・・平和じゃないのが、平和なような場所ですから。 第三話「僕と彼と時々機関」 「んちはー!クロレンヤマトの宅急便でーす!!」 誰も出る気配が無い。仕方ない、ここは僕が出るしかないのか。 「はーい」 「判子お願いします」 僕は指差された場所にポンと判子を押した。 そして、荷物を確認する。どうやら僕宛の荷物のようだけど・・・。 ・・・あぁ、そうか。この前、森さんが僕名義で買ったゴスロリか。 いや、違う。今回は甘ロリを買ったんでしたっけ・・・。 「森さーん!甘ロリ届いたよー!」 「じゃあ、いっちゃん!!早速着てみて触らせて~♪」 「触らないで下さい」 「そんな事言って毎回感じちゃってるくせにー☆」 「そりゃ否が応でも反応しちゃいますよ!人間だもの!!」 そんな攻防が一時間以上続き、最後は森さんに半ば襲われて僕がKOされました。 ・・・女に責められる女。そっちの人ならきっと喜ぶんだろうな。 しかし、僕はキョンくんが大好きだから。 うん、とても苛められたいぐらい大好きだから。苛めちゃってるけど。 「なぁ、森」「生物(ナマモノ)逃げたぞ」 「え!?あ、こらー!!」 ここで多丸兄弟・・・もといマリオブラザーズが助けてくれた。 「大丈夫か」「ピーチ姫」 「甘ロリだからそう見えるかもしれないけど、決してピーチ姫のコスプレではないんですよ、コレ」 溜息をついて外を見る。遠くで、ビームが飛んでいるのが見えた。 「・・・はぁ」 このまま機関に居ても仕方が無い。普段着に着替えて僕は外に出る。 こうして素、つまり女の子として街中を歩くのは結構久しぶりな気がする。 いつも忙しいから。彼のせいで。本当に迷惑。 だけど・・・やっぱり大好き。そんな彼が世界で一番。 男としてだけど近くに居て解るもん。いつも僕には厳しいけど、だけど優しいんだって。 ただゆらゆら街中を歩く。行く当てなんて無いけど。 そして、良い感じの川辺にそっと座る。 春の訪れが近い。生えている草を見て、そう感じる。 「・・・帰ろうかな」 数分してポツリと独り言。元々何も目的が無かったんだから。それが良い。 でも・・・それは無理みたい。 「へへへ・・・一緒に遊ばないか?」 不良が五人。僕の周りを囲んでいた。 分が悪い。三人ぐらいなら大丈夫だけど、これは人数が多い。 「なぁ、いいだろ?楽しい事しようぜ?」 「いえ、用事があるので」 「いいじゃねぇか、そんなもんさ?」 「っ!離して!!」 「おとなしくしな!!」 このままじゃ、危ない。そう思った時だった。 「おい、キョン。見ろよ」 「弱いもの虐めをしてる弱者だな」 「同意見だね」 見覚えのある三人がそこに居た。 「何だ、お前等?」 「お前ら頭の悪い不良と違ってただの高校生さ」 谷口くんが答える。・・・あれ?キョンくんの話だと谷口くんって赤点ギリギリじゃなかったっけ? 「んだとゴルァ!!」 「負け犬ほど、よく吠えるって言葉を知ってるかい?」 国木田くんが嘲笑を浮かべる。 「んのやろー!!」 「やれやれ。国木田、谷口、散開しろ」 そして・・・キョンくんが指示する。 「「OK!」」 国木田くんと谷口くんはそれぞれ一人ずつ相手していた。 国木田くんは、体が小さい分動きが身軽。 谷口くんは、ただ単純に喧嘩慣れしている傾向が見られる。 キョンくんは三人を相手にして、防御に徹している。けど、動きには余裕が見られた。 ふとキョンくんの頬に拳が一発入る。と、同時に 「正当防衛成立だな。二人ともやっちゃえ!!」 そう呟くのが聞こえた。 キョンくんはそこで反撃に移り変わった。 身軽な動作で蹴りを払い転ばせ、突きを流して顔面に肘を入れる。 食らった二人はその場で蹲って呻いている。 そして、それを見て呆然としている一人の顔面に思いっきり右ストレートを入れた。 「伊達に休日どっかの誰かに振り回されて体動かしてる訳じゃないからな・・・動体視力と体力には自信があるんだ」 見れば、国木田くんと谷口くんも相手を気絶させていた。 ふと、何事も無かったようにキョンくんが私を見る。 「大丈夫か?」 「はい。助けてくれてありがとうございます」 「気にしなくていいさ」 「それよりも、俺と一緒にデー・・・」 「うるさいよ、谷口」 「んじゃ。川辺は不良が多いから気をつけろよ」 「はい。本当にありがとうございました」 キョンくん達は何処かに歩いていった。 それを見送ってふと僕は疑問に感じた。なんで、あれだけ強いのにアナル掘られる時に対抗しないんだろうか、と。 そんな訳で長門さんに電話で聞いてみたらマッハの速度でキョンくんのアナルを掘っていた事が判明した。 「抵抗しようにも出来ないのか・・・」 僕は自然と自嘲気味に笑っていた。 そんなこんなで、『機関』に戻った。そして、 「だーかーらー!!なんで貴方達が居るんですかー!!」 と、思わず叫んだ。 「「「「何となく」」」」 とりあえず、『機関』は『機関』でも『埋葬機関』の四人には再びスタンローブを投げつけて置きました。 そのついでに瀕死の四人をアインナッシュの中に放り込む。どうせ死にはしないでしょう。 「にゃー!!」 「はぅ~☆猫かぁいい~♪」 森さんは追いかけて引きずり戻したのであろう生物(ナマモノ)を大事そうに全力で抱きしめていた。 「やっぱり生徒会長のアナルはよく締まるぜ」 新川さんは何故か若々しくなって帰ってきていました。 「変なのー」「変なのー」 多丸兄弟はまた違うコスプr・・・っていうか、それ姉妹専用じゃないんでしょうか? そんなこんなで「平和」と書いて「平和じゃない」と読む。そんないつもの『機関』でした。 「平和ですね・・・」 「やめるにゃー!!もう一回、び~む」 「痛い、痛いよー!でもかぁいいよ~♪」 「ニャー!!」
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【登録タグ A Caz 初音ミク 曲】 作詞:Caz 作曲:Caz 編曲:Caz 唄:初音ミク 曲紹介 Caz氏の8作目。 久しぶりのミクさんです!今回は写真、動画も自分です。(作者コメ転載) 歌詞 焼きつく真っ白な日と 変わらない影絵 遠く雑踏の中 霞む蜃気楼 そっとそっと 瞳(め)を瞑(つむ)ってた ずっとずっと 耳を塞いでた 書き殴った言葉に意味等無かったの?教えて 映した鏡の中の 置き去りのメロディ 笑う花の向こうに 流れる白日 そっとそっと 口を紡いでた ずっとずっと 心視せないで 揺るがない未来を願うだけの日々にさよなら 君に届け 空仰いで 駆け抜けてそのスピードで 両手伸ばしても まだ触れられないよ 逆巻く風の中 君に届け 風奏でて まだ見えないセカイがあるでしょ その瞳開いたら 広がる空の下 はじまりは そう ここから 君に届け 空仰いで 駆け抜けてそのスピードで 両手伸ばしても まだ触れられないよ 逆巻く風の中 君に届け 風奏でて まだ見えないセカイがあるでしょ その瞳開いたら 広がる空の下 はじまりは そう ここから 君に届け 風に乗せてくよ 鮮やかな季節に包まれ その瞳開いたら 広がる空の下 はじまりは そう ここから 風奏でよう あの日の自分と 手と手繋いだら 歩き出せるよ ここから コメント 歌詞の一部が間違っていたので、勝手ながら直させていただきました。 -- 名無しさん (2010-08-09 02 17 37) 上の方と同じく、歌詞の一部が間違っていたので、修正させていただきました。 -- 名無しさん (2011-02-03 07 17 07) かっこよいです!!!!!! -- 名無しさん (2012-11-12 21 10 45) 題名どういう意味かだれか教えてください>< -- 名無しさん (2012-11-24 14 34 50) 名前 コメント
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元が縦書きなのでラノをおすすめします part.3をラノで読む 第三話 〈キャスパー・ウィスパー侵略:part.3〉 人の心を侵食し、意のままに操る力をもつ魔女、キャスパー・ウィスパーこと西野園ノゾミは、巣鴨伊万里の心の奥深くにまで潜っていった。 ノゾミの精神体が伊万里の心の海を泳いでいく。伊万里の思念にノゾミは触れ、彼女の過去や、想いなどがノゾミの精神体に流れ込んでくる。 (これが死の巫女の精神世界、あまり他の連中と大差ないわね――) ノゾミは彼女の奥底に埋まっている部分を覗く。それは伊万里のトラウマと呼べるもの、伊万里の両親の死の記憶であった。 黒く不気味な服を着た見知らぬ親戚や両親の知人、それらの人々に囲まれて、一人泣きじゃくる小さな赤毛の女の子。それは幼き日の伊万里である。 自分の能力で両親の死を予知するも、無力で幼い伊万里にはそれを止める方法はなかった。それが今の強さを求める伊万里の人格の原因でもあった。 (ふぅん。ヒトのために強くあろうなんておこがましい女よね。なんでも護ろうなんて神にでもなったつもりかしら。いえ、私は神をも越える存在になるのよ。そのためにこの死の巫女の力が必要――) ノゾミはさらに奥深くの、伊万里本人でさえ忘れている記憶の海を潜っていく。そこに何か伊万里の心を支配できる何かが存在するはず。 しかし、ノゾミはそこにありえないものを見た。 真っ暗な闇に包まれた心の海の奥底に、僅かに光が見えている。それは有り得ないことである。ノゾミが今まで見てきた人の心の深海は、唯ひたすらどす黒い、星の無い宇宙のような暗黒が広がっていた。 だが伊万里にはまるで小さな星が輝いているような、そんなわずかな光がこの心の暗黒に煌々と輝いていた。それはまるで、 (まるで希望の光じゃないか――そんなものがこの残酷で不条理な世界に存在なんてするもんか) そうノゾミは吐き捨てるように心の中で呟く。 異能の力を得て、スティグマにやってきたノゾミはずっと人の心の闇しか覗いてこなかった。希望も愛も夢も何もかもが彼女にとっては疎ましい存在でしかなかった。 そんなノゾミはまるで光に魅かれる蛾のようにその光に向かっていった。伊万里が心の闇の中で、忘却しながらも心の支えにしているその小さな輝きに触れていく。 それは同じく両親の葬式の日の記憶。 彼女の親友である藤森弥生が彼女を慰めている姿が見える。 「伊万里ちゃん、泣かないで。私がいるから、私が伊万里ちゃんを護るから!」 同じく幼い弥生は、泣きじゃくる伊万里に向かってそう言っていた。微笑ましい光景ではあるが、今弥生はノゾミに操られ、護るべき伊万里を襲っていた。 (友情なんて、私の能力の前では無力でしかないわ) ノゾミは目の前の光景を見て邪悪な笑みでほくそ笑んだ。彼女からすればこのような茶番などいつでも壊せてしまうのだ。 (なに、こんなものが巣鴨伊万里の心の支えなの? 下らない) ノゾミはそれに落胆していた。そんなものが闇を照らす光になるとはとても思えなかったからだ。 (しかし、この光の記憶はまだ先があるようね――) ノゾミは記憶の続きを見ようと光の中を進んでいく。やはりその記憶も葬式の日で、先程の弥生との会話の少しあとのようである。 やがて弥生も家に帰り、通夜の中、部屋の片隅で膝を抱えて伊万里はまだ泣いていた。 伊万里は自分に死を見る能力が無ければ自分も一緒に両親のところに行けたのではないのか、一人こうして残されるくらいなら一緒に死んだ方がマシだった、などと考えていた。 彼女は自分のこの異常な力が恐ろしかった。 これから一生人の死を見続けなければならないのか、ずっとその死を止めることもできずに見殺しにしていくのかと。 そして何よりこの人の死に慣れてしまうんじゃないか、そうなることが彼女にとって一番恐ろしいことであった。 伊万里が顔を伏せながら泣いていると、周りがざわざわと騒ぎだした。 「おいおい誰だここの場所教えたの」 「あの子の親はいないのか、何してるんだ」 「まぁやだ、孤児ですってあの子。だから教育がなってないのね」 「よく出てこれるな、まだ子供だとはいえ自分がしたことくらいわかるだろ」 「まるで死神ね、縁起でもない。帰ってもらいましょうよ」 そんな声があちこちで上がる。ニュアンスとして彼らが言う“あの子”とは自分のことではないと伊万里はわかっていた。じゃあみんなは誰のことを言っているんだろう、そう思って伊万里は伏せていた顔を上げる。 そこには可愛らしい顔をした男の子が立っていた。 伊万里と同い年くらいであろうが、喪服ではなく、なんだか薄汚れた服を着ている。手や足に痛々しい擦り傷があり、その表情は曇っていた。 「あ・・・・・・」 伊万里は直感で理解したようだ。 彼が伊万里の両親の死の原因。 親戚や警察から聞かされていた、両親はこの少年を庇うために死んだのだと。 伊万里の両親は、自動車で祖母の墓参りに出かけている時に事故にあったのだが、それがこの少年に原因があったからだ。この少年はボールを追っかけて道路に飛び出し、慌ててハンドルを切った伊万里の両親はそのまま道路の崖から落ち、即死してしまった。 偶然と世界の不条理と少年の不注意が生んだ悲劇。 そしてその少年が伊万里の前にやってきた。 伊万里と少年はお互いに目を合わせるが、何を喋ったらいいのかわからなかった。 「あ・・・・・・あの・・・・・・」 伊万里が何かを言わなきゃ、言葉にならない言葉を呻く。伊万里は彼に対しての感情を決めかねていた。憎悪を持てばいいのか、どう接すればいいのか。 伊万里がぼんやりしていると、少年は突然その場にうずくまった。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・・・・・・・・」 少年は謝罪の言葉だけをひたすら呟いた。 彼もまた、幼く、無力な子供だ。謝るしか彼にできることはなかった。それがどんなに周りから浅はかな行為だと思われても、少年にはそれしかできなかった。 無力な少女と無力な少年。 彼らの出会いは決して幸福なものではない。それでも伊万里はこの泣きながら謝り続ける少年に、伊万里は怒りや憎しみを抱くことはなかった。 ああ、彼も不条理な世界の被害者なのだと、そう感じていた。 「そんなに、泣かないでよ。泣きたいのは私のほうだよ・・・・・・」 伊万里は少年の頭にぽんと手を置いた。 「うう・・・・・・だって僕のせいでキミの・・・・・・お父さんやお母さんが・・・・・・僕のほうが死んだらよかったんだ・・・・・・どうせ僕なんて誰も悲しむ人なんていないんだから・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 伊万里は少年の両頬を手で思い切りつかんだ。 「泣かないでって言ってるでしょ!」 激しい伊万里の叱咤に、少年一瞬びくっと震えたが、少しだけ笑った顔になっている伊万里の顔をみて唖然としていた。 「泣かないでよ、あんたがそんなこと言ったら私のパパやママがあんたを助けた意味なくなっちゃうじゃない。泣かないで! 強く生きてよ!」 後半伊万里もボロボロと涙を流しながら少年にしがみついていた。少年も伊万里もその場で大泣きしていた。 周りにいる大人たちは伊万里と少年が喧嘩しているのではないかと迷惑そうな顔をしていた。少年を伊万里から引き剥がそうと少年の腕を引っ張り、追い出そうとしていた。 「早く出て行けよガキ。伊万里ちゃんが可哀想だろ!」 「まったく常識のない子供ね。恩人の通夜の席で泣き散らかして」 どんどん引っ張られ、少年は何も抵抗できずにいた。しかし、その時伊万里が回りの大人たちを睨み、 「やめて! その子を離して!」 と一喝した。 呆然とする大人たちをよそに、伊万里は少年に近づき、何かゴツゴツしたものを少年に手渡した。少年はわけがわからずきょとんとしていた。 「これ・・・・・・」 「それ、パパがいつも使ってたやつ・・・・・・」 それはヘッドフォンであった。真っ赤な派手なもので、子供が使うには大きすぎるかもしれない。ちゃんとプレイヤーも一緒についている。 「プレイヤーの中にはママが好きだった歌手の曲が入ってるの」 「え・・・・・・そんな大事なもの・・・・・・」 「だから、よ。絶対パパとママのこと忘れないで。それを見ていつもパパとママに助けられたことを忘れないでよ、忘れたら許さないんだから!」 伊万里は半ば押し付けるようにヘッドフォンを少年に譲った。少年はそれをぎゅっと抱きしめていた。 「僕、絶対に忘れない。僕がキミの両親の代わりにキミを護る。絶対に、たとえ世界がキミの敵になっても、僕はキミを護る!」 「な、何恥ずかしいこと言ってんのよ! 弥生もそんなこと言ってたけど、私はそんな護られるってガラじゃないわ。ううん、強くなりたいのは私のほうよ」 伊万里は少年の真っ直ぐな言葉が恥ずかしいのか、少しつっけんどんにそう言った。 「だったら一緒に戦おう」 だが、少年はそう言った。一体何と“戦う”のか、それは具体的には少年自身にもわからないであろう。しかし、これから二人に襲い掛かる過酷な運命や困難、それを暗示しているかのようであった。 やがて少年も帰り、また伊万里は独りになっていた。しかしその顔にもはや涙はなく、強くあろうとする意志と、自分を護ってくれる存在に出会ったことによる充実感に満たされていた。 両親の死は彼女にとって辛く悲しいものではあったが、彼女の心に残ったのはそれだけではなかったのである。 その後伊万里は双葉学園に入学し、その孤児の少年もそれからどこかに引き取られたというのを風の噂で聞いていた。 (何よこれ――気持ち悪い。こんなのが心の闇に輝いてるなんて) ノゾミは伊万里の記憶に触れ、嫌悪の表情をしていた。これは彼女が嫌いなものの一つである。 (こんなの、ただの初恋じゃない――!) ノゾミは虫唾の走るようなその伊万里の光の記憶から脱出し、さらに深く黒い部分に迫っていく。この光を越えた先に、伊万里の心の闇の核心部分が待っているのだ。 しかし、両親の死以上のトラウマが伊万里にあるのだろうか、ノゾミは少し不審に思っていた。 (なんだか闇が深すぎる気がするわ・・・・・・まるで人間の精神じゃないみたいな) やがて心の海の最深部に辿りついた。 それは、何と形容したらいいのかわからない。 伊万里の心の最深部にあるものは混沌そのものであった。黒く不気味な軟体動物の触手のようなものがぐるぐるとトグロを巻き蠢いている。 人間の精神がこのような形をしている姿を、ノゾミは初めて見た。 (これじゃまるで化け物じゃない・・・・・・まさかこれがクローリング・カオスの言っていた“彼女”なの――?) ノゾミがその触手から遠ざかろうと身を引こうとした瞬間、その触手がノゾミのもとまで伸びてきた。タコやイカのような吸盤のついたその触手は、何本もノゾミに絡みつき、彼女の精神体を拘束していく。 その触手は彼女の精神体を侵食し、汚染していく。 「馬鹿な、この私が逆に取り込まれると言うの? こ、こんな化け物が人間の力で制御なんてできるものか! クローリング・カオスは一体何が目的なのよ!」 やがてノゾミの精神が黒く染まっていく。 ノゾミが最後に見たものは、伊万里の心の闇の、封印された記憶であった。 その記憶の映像はノイズが激しく、何が映っているのかよくわからない。しかし、白い部屋と白い服を着た大人たち。それを取り囲む少女がそこにいた。 『・・・・・・やはりまだ早い・・・・・・これは・・・・・・』 「やめて・・・・・・苦しい・・・・・・」 『この異能は・・・・・・・”彼女“とのコンタクトを・・・・・・可能・・・・・・』 「いや、痛いの・・・・・・もういや・・・・・・」 『しかしこれは超宇宙法則の・・・・・・精神体が・・・・・・』 「もう私の・・・・・・頭を・・・・・・いじらない・・・・・・で・・・・・・」 『これは・・・・・・ラルヴァ・・・・・・上級Sの5・・・・・いや、もしくはそれ以上の・・・・・・』 「やめて、やめて、やめて!」 『こんな希少な実験体・・・・・・手放すわけには・・・・・・・しかし・・・・・・』 「パパ・・・・・・ママ・・・・・・助けて・・・・・・!」 「うアアアアアアあああああああああああああああ」 突然目の前の西野園ノゾミが発狂したように叫びだして伊万里は呆然としていた。 頭を両手で押さえながらのた打ち回っている。喉が引き裂かれんばかりに口からわけのわからない言葉を喚いている。 一体何が起きたのか。それは伊万里にはわからなかった。しかし、まともではないということはノゾミの苦しみ姿を見ていればわかる。 「な、何よ。突然どうしたの!」 ノゾミの顔には今までの美しい表情はなく、苦悶と苦痛により、歪みきっていた。 伊万里が驚いてどうしたらいいか迷っていると、ふと自分を縛っている縄が緩んだ。その縄を持っていた弥生の意識が突然失われたように倒れたのだ。 「弥生!」 伊万里は身体をぐりぐり動かして縄を解いた。 弥生を抱き上げると、どうやらノゾミの集中力が切れたせいなのか、能力の支配下から開放されたようだ。 (弥生が無事でよかったわ。でもこの西野園先輩・・・・・・一体どうして、私の心を覗いてこうなったの?) まるで精神が破壊されたかのようなノゾミの行動に伊万里は恐怖を覚えていた。しかし、真の恐怖はこれから始まることになる。 突然ノゾミの身体に異変が起きた。 ノゾミの身体が痙攣をはじめ、どんどん身体が黒く染まっていく。 やがて腕が形を崩壊させ、まるで軟体生物の触手のような形になっていき、腕から身体全体に何かが浸食していくように人間としての形が崩れていく。 「な、なによこれ! 何が起きてるの!?」 伊万里は恐怖で身体が動かなかった。 目の前の人間がそうでなくなっていく光景は、何よりも不気味で恐ろしい。 ノゾミの上半身は黒く巨大な物体に覆われ、そこからは無数の触手が生えていた。彼女の人間としての部分はスカートから覗く真っ白で綺麗な足だけである。それが逆に不快感を煽るようなギャップを醸し出している。 「な、何なのよ・・・・・・これじゃまるでラルヴァじゃない・・・・・・」 その黒きモノは触手を鞭のようにしならせ、当り構わず振り乱している。空を切るように伸びる触手がこの廃研究室の機材を次々と破壊していく。その触手が伊万里の横を通り過ぎ、機材を触手で絡めている。それの機材は触手と一体化して、黒きモノの本体に取り込まれていく。どうやら回りにあるものを無差別に食らっているらしい。それを見て伊万里は背筋がぞっとしていた。 「弥生! 起きて! 逃げるわよ!」 伊万里は弥生の頬をぺちぺちと叩いた。 「・・・・・・ん、ここは・・・・・・伊万里ちゃん?」 弥生は意識を取り戻したようで、焦点の合っていない目で伊万里を見上げていた。どうやら今までの操られていた記憶は飛んでいるらしい。 「弥生・・・・・・よかった。さあ早くここから逃げるわよ、あの化け物に食われる前に」 「え、化け物・・・? あ!」 弥生は寝ぼけた頭で目の前の光景を直視する。それを見た弥生は思わず大声で悲鳴を上げてしまった。思わず伊万里にしがみついてしまっている。 「な、なにあれ伊万里ちゃん! 何なの!?」 「わからないわ。ただ突然西野園ノゾミ先輩があんなラルヴァに変身したのよ」 「に、西野園さんが・・・・・・嘘でしょ!」 「本当よ、あの人は異能の力で弥生や他の人たちを操ってたの。一体何が目的だったのかわからないわ。でも、あのラルヴァな間違いなく西野園ノゾミよ」 二人は目の前のラルヴァを睨みつけるが、その黒きモノは構わずに破壊にいそしんでいた。そのうちこの廃研究室も崩壊するだろう。 さっきよりも黒きモノの身体は膨れ上がっていた。 廃研究室がどんどんボロボロになっていき、黒きモノはそれらを飲込み続けているのにも関わらず、見た目は変わっていない。 あれほどのものを飲込みながらもどうやら質量そのものに変化はないようである。 一体どういう理屈かはわからないが、その得体の知れなさも彼女達に恐怖を与えていた。 廃工場の上空に人影が浮いている。 まるで見えない足場があるかのように空中に立っている男がいた。 存在感が希薄なのか、その男には顔が無いような印象をうける。彼はクローリング・カオス、聖痕の構成員の一人である。 彼は空中から西野園ノゾミの変身と破壊を眺めていた。 「自分の力を過信して、深淵を覗こうとするからこうなるのだ。深淵に触れたものは深きものに取り込まれるというのに」 研究室の天井を突き破り、触手が外にも伸びていく。その触手が一瞬丸く膨れ上がったかと思うと、破裂し、あたりに飛び散る。 飛び散った破片たちは、まるで意志があるように蠢きながら這っている。 「巣鴨伊万里の中にある“彼女”の触手に触れただけであれほどのものになるとは。“彼女”の本体は一体どれほどの力を――」 彼が呟いていると、灰研究室の反対側に赤いマフラーを首に巻いた少年が目の前の光景に唖然としていた。 「連中もここにいるのか。まだ連中と会うのは得策ではないな」 そう言って彼はまるで夜の闇に解けるように消えてしまった。 「な、なんだよこりゃあ!」 思わず早瀬速人はそう叫んでしまった。オフビートが向かって行った方向から巨大な触手が天に向かって伸びたかと思えば、それが爆ぜて何やら黒い物体が大量に街に向かって這ってきている。その黒い物たちは当たりの瓦礫などを取り込んでこちらに向かってきている。あれに触れたものは取り込まれるようだ。 一体何が起きているのか早瀬にはわからないが、あの黒い物体が街に迫ってきたら大変なことになる、そう肌で感じていた。 「こいつらはラルヴァなのか・・・・・・?」 大量に迫ってくる黒いラルヴァの群れを見て早瀬は恐怖を感じていた、わけではなく、なぜか不適に笑っていた。 「ラルヴァ・・・・・・か。なら俺の出番じゃねえか!」 早瀬は赤いマフラーをなびかせて、ラルヴァの群れに向かって駆け出した。一切の迷いもなく、ただ真っ直ぐに、ひたすら直進していく。 「第一加速!」 早瀬の駆けるスピードがぐんぐんと速くなる。 「第二加速!」 F1カーの如くスピードになり、周囲の空気が切り裂かれていく。 「第三加速!」 もはやまともに視認できぬほどのスピードになり、本来なら服も身体も摩擦熱で燃え尽きるほどのスピードであるが、早瀬は身体付近に逆加速をかけ、それを防ぐ。 「最終加速、全力疾走!!」 音速を超え、早瀬の周りにソニックブームが発生し、周りの瓦礫などを吹き飛ばしていく。もはや彼を止めることは何者も出来ない。 早瀬はそこで一度地面を蹴り、低空での跳躍をし、右足を前に突き出した。超スピードの慣性の法則により、早瀬の身体はそのまま超速で黒いラルヴァの群れに突進していく。 「必殺、零式スーパーソニックオーバーキィィィィィィィィィィィィィィィック!!」 激しい摩擦熱の光により、一瞬だけここ一帯の夜の闇が明るく照らされ、凄まじい衝撃波により黒いラルヴァたちは吹き飛んでいく。 崩れた廃工場の瓦礫の山の一角に早瀬は着地し、息を切らしていた。 「ふぅ、やっぱ能力全開でいくと疲れるな。だけどこれであのラルヴァたちは・・・・・・」 だが早瀬は吹き飛んだラルヴァたちを見てぎょっとした。 ボロボロに千切れとんだはずなのに、それらはまた動きだした。いや、千切れた分だけ増殖してしまったようだ。 「なんだよこれ、どうしろってんだ! こいつらには“死”がないのか!?」 黒い物体たちは一斉に早瀬に向かって飛び掛ってきた。 体力がもはや限界になっていた早瀬は、それらを避ける余裕がなかった。 早瀬が身を硬くした瞬間、どこからかバイクのエンジン音が聞こえてきて、巨大なオートバイが早瀬の視界を遮り、黒いラルヴァたちを纏めて空中で轢いていく。 空中を駆けたバイクは着地すると、ぎゃりっと半回転して停止する。そのバイクには二人の人物が乗っていた。それを見て早瀬は安堵の表情を見せる。 「ルール先輩、加賀杜先輩!」 大きなオートバイに乗っていたのは醒徒会のエヌR・ルールと加賀杜紫穏であった。加賀杜がハンドルを握り、それを後ろから覆いかぶさるようにルールが乗っていた。 「あー、なんかお二人ともそんなくっついてやらしいですよ」 早瀬はくっついてバイクに乗る二人を茶化す。半ば羨ましいと感じているようである。 「仕方あるまい。非常事態だ」 「そうだよー。アタシの能力でバイクの性能を引き上げたから間にあったんだから感謝してよー。アタシがハンドル握らないと能力浸透しないんだから仕方ないんだから」 「そうだ、それにぼくには幼女趣味なんてない」 「どーゆー意味かなエヌルン」 加賀杜はこめかみの血管を浮かせてルールを睨んでいる。ルールは青いサングラスのせいでわからないが、どうやら目を逸らしたようだ。 「い、いや。それよりこの黒い物体・・・・・・ラルヴァたちをどうにかする方が先だろう」 ルールは誤魔化すように周りに飛び散ったラルヴァたちを見やる。それらの物体はさっきバイクで轢かれたにも関わらず、やはりダメージを感じていないかのように蠢いている。 「どうしますルール先輩。こいつらどんだけ攻撃しても駄目ですよ、下手に破壊しても分裂しちゃうだけですし」 「そのようだな。だが、それは中途半端な攻撃の場合であろう」 ルールは両手の骨をポキポキと鳴らした。 ゆらり、と身体をラルヴァたちに向け、両手を構えた。 「何も残らないほどに消し飛ばしてやればいいのさ」 ルールは飛び掛ってくる黒い物体たちを両手で薙ぎ払った。 すると黒いラルヴァたちはまるでかき消されるように身体がもぎ取られていく。彼の両手に触れるものはまるで砂のように分解され空中に消えていく。これぞ彼が持つ最強と言われる異能“ザ・フリッカー”である。 「うわぁ、久々に見ましたけど相変わらず卑怯臭い能力ですよね」 早瀬は次々とかき消されていくラルヴァたちを哀れに思いながらこの異常な敵が駆逐されていくのを見て安堵していた。しかし、 「何を気を抜いているんだ早瀬」 「いや、だって。もうラルヴァは・・・・・・げっ!」 早瀬が目の前を見ると、廃研究の中心から巨大な触手が伸び、そこからまた黒いラルヴァたちが生み出され増殖していく。もはや数え切れないほどの大群と成していた。 「ふん、どうやらこいつらを全員消すのは骨が折れそうだな。だが、やるしかあるまい」 「そうだねエヌルン。はやはやも気合入れたほうがいいよー」 「ま、マジっすか~」 「この化け物分裂してるの!?」 伊万里は目の前の黒きモノが触手を天に伸ばし眷属たちを増殖させているのを見て、驚愕していた。まるでこの世の終わりのような光景である。あんなものが増えてしまったら一体どうなってしまうのだろうか。 「い、伊万里ちゃん早く逃げようよ!」 「うん。だけどこのラルヴァを放っておくわけには――」 「駄目だよ私たちじゃこんなの相手に出来るわけないよ!」 弥生はまた伊万里の悪い癖が出始めていることに気づいてそれを止めようと彼女の肩を掴み、揺すっている。 伊万里はまたも目の前の敵と対峙しようとしていた。 だがどうあってもこの黒きモノ伊万里が勝てるとは思えない。弥生はそれを危惧して伊万里をこの場から離そうと必死である。 二人がまごまごしていると、その目の前を触手が通り過ぎる。 「ひぃ、あ、あれに取り込まれたらどうしようもなくなっちゃうよ! 伊万里ちゃん逃げよう!」 「わかったわ。行こう弥生!」 二人は出口の扉に向かって駆け出した。だが触手の攻撃により次々と天井が崩れだし、扉が瓦礫で埋まってしまう。 「そんな!」 唯一の退路を絶たれ、伊万里と弥生は立ちすくむ。恐るべき黒きモノとこの空間に閉ざされてしまった。天井は穴が開けられているが、とても登れるものではない。 「ごめん弥生、私が早く逃げないから・・・・・・」 「そ、そんな謝らないでしょ伊万里ちゃん。もし下手に出口に向かってたら下敷きになってたかもしれないし・・・・・・」 二人はそう言うが、現実は非情である。彼女達のすぐ後ろにはあの黒きモノが触手を蠢かせている。 「でもあの化け物って目が見えてないのかな。手当たりしだいに攻撃して取り込んでるけど、私たちを狙うってことはしてないみたいね」 「う、うん。多分視覚がなくて感覚で動いてるんじゃないのかなぁ」 「なるほどね、あんまり高度な感覚じゃないみたいね」 「ど、どうするの伊万里ちゃん・・・・・・?」 伊万里は足元に落ちている鉄パイプを拾い、それを黒きモノに向けて構えている。 「私がこいつを挑発して攻撃をしかけさせるわ。それでこいつの攻撃でこの出口の瓦礫を破壊してもう、ってのはどう?」 「そんな、伊万里ちゃんが囮になる気!?」 「うん、だって西野園ノゾミは私が目的だったみたいだしね。弥生はちょっと下がってて」 そう言って伊万里は黒きモノの触手に向かって鉄パイプを叩きつけた。 「さあ怒りなさいよ化け物! 私が目的なんでしょ!」 伊万里の位置を感知した黒きモノの触手が伊万里を目掛けて薙ぎ払われた。伊万里はバックステップでそれを避けるが、鉄パイプは触手に触れ、取り込まれて消え去ったしまった。 「うわ、こんなのに食べられたらどうなっちゃうのかな」 伊万里は黒きモノの恐ろしさを痛感した。だが今さら後には引けない。伊万里は触手を挑発するように出口の扉まで引き寄せる。 しかしその時伊万里の足元に何かが当たる。それは崩れた瓦礫の破片であった。 伊万里はそれに足を引っ掻けてバランスを崩してしまう。 「伊万里ちゃん!」 「しまっ――」 伊万里はそのまま転んでしまった。 それを感知した黒きモノは触手を容赦なく伊万里のもとに振り下ろした。黒い触手が伊万里の身体を覆い、伊万里はその場から消えてしまった。 「伊万里ちゃああああああああああああああん!」 弥生の悲痛な叫びも虚しく、伊万里は触手に丸ごと取り込まれてしまった。 「そんな・・・・・・伊万里ちゃん・・・・・・」 弥生は自分の無力さに愕然として膝を地面についた。地面にはぽつぽつと水滴がこぼれる。それは弥生の瞳から流れ落ちた涙であった。 「護るって・・・・・・私が伊万里ちゃんを護るって約束したのに・・・・・・」 弥生はその場に泣き崩れ、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。 唯一の親友を失い、彼女はもう全てがどうでもよくなっていた。自分もあの黒きモノに取り込まれてしまおう、それが一番楽だ、そう考えていた。しかし、 「伊万里!」 突然閉ざされた扉の向こう側からそんな声が聞こえてきた。 part.4につづく トップに戻る 作品投稿場所に戻る
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ラノで読む 【case2 Eiserne Jungfrau】 これは、双葉学園とは別で起こった事件。 この世界《にちじょう》ではよくあることであり、そして隠蔽されることもまたよくある、 どこにでもある安っぽい悲劇。 その日、その女子高の生徒達が全員死んだ。ただそれだけ。 正確には、登校した生徒達全員。五百二十名、その悉くが殺された。 その惨劇を回避できたのは、病欠やサボり、そしてひきこもりの不登校の少女たちだけである。 その数、八名。 そしてその少女達は、ただ運良く回避できただけに過ぎない。 本当に、そうだろうか? そう疑問が湧くのもまた当然。世界に運命という絶対律があり、偶然は必然ならば。 “そうね” 笑い声が響く。 “故に、あの子たちが生き延びた理由は一つ” それは悪意を孕んだ声。 “あの七人が生き延びたのは――” 絶対的な、殺意の元に。 彼女はその娘たちへと声を届かせる。 “ただの、食後のスイーツ” ――そして。 取るに足らない惨劇が開始される。 皆槻直と結城宮子の前には、新しい血が飛び散っていた。 「うわぁ……」 ほぼ全校生徒が殺害された事件。 当然、封鎖された校舎に立ち入るものなどいない。いるはずがない、常識として。 だがその埒外もまた当然存在する。 それは、彼女たちのように、ラルヴァが起こしたであろう事件を調査・解決しようとするものだったり。 そして―― 新たなる犠牲者だったり。 「間違いない、新しい被害者ね……」 血は新鮮な赤色。数日前に殺された血痕ではない。 そしてその血の主は、すでに事切れている。 どれだけの恐怖と苦痛を味あわせられたら、こんな顔をするのだろうかと、想像することすら痛ましい表情を張り付かせて。 「ひどい……」 直は、拳を握り締める。 これは、彼女の美学とは相容れない。絶対に。 戦いの果ての死、などでは断じてない。そもそも彼女達はただの人間。ただの一般人。 それをこんな、拷問と玩弄の果ての……殺すことが目的ですらなく、「遊んでいたら死んだ」かのような。 宮子は、その遺体の目をそっと閉じさせる。 「……とにかく、ここにラルヴァがいるのは間違いないわね。 見つけ出して、退治しないと……」 そういいながら、血に染まった廊下を見つめる。 すると…… 「た、たすけてください……!」 疲弊したか細い少女の声が、二人の耳に届いた。 少女は、武上華菜、と名乗った。 引きこもりの不登校児。 だが、何故か気がついたら学校にいた。自分でもわからない。 ただ、呼ばれた気がする、とだけ。 「そんな、こんなひどいことになってるなんて……」 恐怖と嫌悪にむせび泣きながら、華菜は言う。怖い、と。 「でも、一人でも……よかったよ、本当に」 「ありがとう……本当に怖くて。 私、ここから出たいの……お願い、助けて」 華菜が懇願する。だが、その時…… 「あなた、誰」 直が、言う。 「え、誰って……」 「学校の生徒で、残っているのはいないのよ。 この中で私達が見つけた、新しい被害者は七人。 生き残ったのも七人……もう、いないの」 「わ、私は……いや、ちょっと待ってよ。 新聞見てないの? あの時の事件で……」 「そうね。あの日、学校に行かずに、あの事件に会わなかったのは七人。 でも……」 一息ついて、続ける。 「残りの一人は、死んでいた。ひきこもりの末、自ら命を絶って」 「……」 直たちは、すでにそれを調べていた。事件の情報収集は、基本だ。 「そう、これで五百二十+七+一、総勢五百二十八名……この学校の生徒は全員亡くなった。 じゃあ、あなたは誰なの? 最後の一人、自殺したはずの女の子の名前を騙る、あなたは」 その言葉に、少女はうつむき、そして…… 「うふ、ふふふふ……」 くぐもった笑いは、 「あは、あははははは、あっははははははははははははははははははははははは!!」 哄笑へと変わる。 そして。 「! ナオ、跳んで!」 宮子が叫ぶ。その声に従い跳躍したその刹那、 巨大な鋼の棘が空間から飛び出し、直前まで直のいた場所を串刺しした。 「惜っし~い。もう少しだったのになぁ」 くすくす、と。 鈴を転がすような声で笑う少女。 血に染まった校舎にそれはどうしょうもなく不釣合いで。 似合いすぎるほどに、邪悪だった。 「……ラルヴァ」 「ええ、そうよ」 「武上華菜を殺し、その体を……乗っ取ったの?」 宮子の言葉に、華菜の姿をした少女は笑いながら言う。 「はあ? なんで? 私が、華菜を? ちょっと、なにその発想? あはは、おかしすぎ! ねぇ、乗っ取るって何? 私ってば何者? それ、あはははははは!」 「……っ」 そのあまりにも馬鹿にした笑いに、宮子は憮然とする。 「私が、この私が! あの子を殺すはずないじゃない! だってさぁ……」 メキメキ、となにやら音が響く。 その音は、彼女の腹から。 そして―― 腹が爆ぜ、そこから鎖が幾重も飛び出す。 「殺してあげる前に、殺されちゃったんだからさぁっ!!」 唸る鋼の蛇。二人は走り、それを避わす。 鎖はまるで生きているかのように、地を砕き壁を走り、二人を追いかける。 「ほらほらぁっ、早く走らないと追いついちゃうわよ? もっと早くぅ!」 笑う。笑うラルヴァ。 鎖は生物のように、二人を追う。 そして…… 「それだけじゃないわよぅ?」 その言葉と共に、床が爆散した。 「!」 床から生える、太い針。 それが宮子の足を貫く。 「あうっ!」 「ミヤっ!」 そして、その刺棘に足を取られた瞬間、唸る鎖が宮子の全身を縛り上げる。 その光景に気を取られた一瞬の隙を突き、直の体にもまた鎖が巻きつく。 「く……!」 「うああっ!」 少女の腹を破り生える、血に染まった鎖が二人を拘束する。 「つーかまえたっ」 まるで鬼ごっこで勝ったかのような、そんな童女のような笑顔で、二人を縛り上げる。 「んー、拍子抜けよねー。かっこよく攻め込んできたのにもうおしまい? ほらほら、もっと頑張りなさいよぉ。でないと……」 別の鎖が、じゃらりと音を立てる。 鎌首をもたげて引っ張って来たのは、死んだ少女の亡骸。 「あなたたちも、こうなっちゃうよ?」 めきめきと音を立て―― ぱきゃん、と軽快な音を立て、その亡骸の頭は砕け散った。 「っ!」 「く……っ、そ……!」 頭の中身が、体の中身が飛び散り、床に、壁に、そしてラルヴァの顔に染みを作る。 ラルヴァはそれを美味しそうに舐める。 「ふふ、やっぱり浴びるなら女の子の血よね。 処女じゃないしただのゲスだけど、まあ贅沢は言えないかな」 その光景に、直は怒りを燃やす。 「やめ、ろ――」 「なによぅ。なんで? あんたらだって、アレでしょ? ラルヴァを殺したりしてるんでしょ? ならなんで私が人間を殺しちゃいけないの?」 「ふざけるな!」 直は叫ぶ。 「それは戦いじゃない。私は――お前のように、弱者を一方的に痛めつける奴が、嫌いなんだ!」 「あはははははは! そうね、確かにそう。本当にそうよねぇ、だったら――」 ラルヴァは笑い、そして――その顔を、憤怒と悪意に歪める。 「なんでそいつらを守るのよ」 一転。 周囲の空間が変わる。 これは映像。 空間に投影された、怨念だ。 「私は見てた」 華菜が、殴られていた。殴っている相手の中には、先ほどに直たちが見た顔もある。 みな、笑っていた。楽しそうに。当然のように。 「私は聞いていた」 華菜が、犯されていた。それを見ながら、万札を数えている女の子の中には、先ほどに直たちが見た顔もある。 みな、笑っていた。楽しそうに。当然のように。 「私は、知っていた」 華菜の体験してきた絶望、羞恥、悲嘆、それら全てが映し出される。 「私が間に合えば――もっと早く、私に力があれば――」 マンションの屋上に立つ華菜の姿。 「もっと早く、私が私になれていれば!」 ここまで苦しむ前に、殺せてあげた! きれいなままで、殺せてあげたのに! クズどもが、ただ楽しいから、面白いからという理由だけで、浮浪者に乱暴させた。 それで病気に罹った。 クズどもが、ただ楽しいから、面白いからという理由だけで、薬品をかけた。 それで、肌が焼け爛れた。 そして絶望し、死を選んだ。 ただそれだけの、よくある陳腐な単なる悲劇。 「あなた、一体――」 「お前、は……?」 二人の声に、ラルヴァはただ笑う。 そして、その手を顔面にかける。 血が滲む。血が流れる。血が沸騰する。血が凝固する。 それは、血の仮面。 彼女の血で、武上華菜の断末魔の血で出来た、仮面。 そう、これはただの悲劇だ。。 ならばこそ――「ただの悲劇」で終わらせてなるものか。 “憎いですか?” 声が響く。 ああ、憎いに決まってるじゃない。 “許せませんか?” 当然よ。 これを許せるものか。 “何を望みますか?” 彼女が失った美を。復讐の甘美と共に、それを再び取り戻す。 “あなたには、その手段がないのに?” そんな事は判ってる。 私には自由に動く体がない。意思もない。心もない。魂もない。 ただの人形。 でも―― “その呪いは、実に素晴らしい!” 私には呪いがある。 あの子が私に込めた呪い。断末魔の憎悪。 ただの人形の私に込めた、血と叫びが、私に呪いをもたらした。 “ならばこそ――” そう、ならばこそ。 “貴女には、踊る権利がある。義務がある。資格がある!” そう、悲劇はいらない。私が欲しいのは―― “仮面を授けましょう。あなたはこれよりプリマドンナとして――” 恐怖劇を、踊り狂う! 「何、これは――」 直たちはそれを見る。 ただの、傷だらけのデッサン人形。 武上華菜が呪いと憎悪と怒りを込めて、デッサンナイフを叩きつけ傷つけ、自らの血を擦り込んだ、歪な木製のヒトガタ。 それに、血の仮面が張り付く。 怨念が、結集する。凝固する。 その姿は―― 処刑器具、拷問器具が集まり、人間のカタチになった、デキソコナイの滑稽な人形。 針金。ペンチ。棘。鎖。手錠。針。車輪。檻。 それらが出鱈目に寄り集まって生まれた、不恰好で、だからこそ凄惨で恐ろしい―― 「鋼鉄の処女――」 二人の前に立つのは、正しく処刑具人形。アイゼルネ・ユングフラウ。 「その子のための……復讐で、こんなことを……」 「その子が、そんなことをして――喜ぶとでも!?」 「当たり前じゃない。世を憎み、世を呪って死んだ娘が、その復讐を喜ばないとでも? ええ、したり顔で言う人っているわよねぇ。 その子は生前に、復讐を考えたのか、とか。 馬鹿じゃない? 弱くて脆い子はね、負け犬はね、そんなことを考える事すら出来ない! 死ぬ気なら立ち向かえる? 呪うぐらいなら殴れ? はっ、馬鹿じゃない? そんなの――強い人間の勝手な持論よ! 強いからいいよねぇ、弱い人間の気持ちなんてわからない。わかったふりをするだけ、わかったつもりで……優しい自分に浸れるから!」 「違う!」 「あはははははは。何が違うの? あなたたちは何を救った? 違うでしょう、ラルヴァを倒す、殺すだけ。 正義の味方気取りで、価値観の違う存在を殺して、酔ってるだけよ? 違うって言うのなら―― なんであなた達は、華菜を救ってくれなかったの? そうよね、救う理由なんて無いものね、だって――ラルヴァに襲われたわけじゃない、ただいじめられてるだけの弱い女の子なんていくらでもいる! そんなのを助けるぐらいなら、ラルヴァを倒したほうがいい。そう、そうよ? ラルヴァを倒せば、そいつに殺されるかもしれない多くの人間が助かるから、だから――人間によっていじめ殺される、どこにでもいるそんな女の子に気付く必要ないものね!」 「違うっ!!」 「勘違いしないでね? 責めてるわけじゃないもの。 自分の手の届く範囲しかどうにもならないのは当然だもん。 それが限界。だからさ、あなたたちは目に付くラルヴァを殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し尽くせばいい。 ええ、最高よね。ラルヴァにも心はある。動物にも心があるのと同じ。血の色はどんなかしら? その悲鳴は? ああ、考えるだけでドキドキして胸が高まる! 自分とは別の生物、自分達を害する敵だから倒していい、殺していい、なんて素敵な免罪符! 本当、あなた達って最高」 「ふ、ざけるな……!!」 「ふざけてなんかないわよ。だから私は、異能者《あなたたち》が大好き。 だから……」 鎖がほどける。 二人は床にそのまま投げ出される。 「あなた達は殺しちゃわないわ。あなたたちがラルヴァを殺していくのを楽しませてもらう。 あなたたちも恐怖劇の大事な大事なブリマドンナ。 そして……」 仮面が笑う。 「それが違う、って言ったよね? ならその偽善が何処まで通用するか楽しみ。 だからここでは殺さない。 でもいつか殺してあげる。私があなたたちを覚えていたら、の話だけどね? だって――」 鋼鉄《アイゼルネ》の処女《ユングフラウ》は笑う。 「何処の誰でも言いそうな、陳腐でどうでもいい正義なんて、私の胸には届かないもの。 あの子の嘆きが誰にも届かなかったように」 それは何処にでもある話。どこにでもある安っぽい悲劇。 理由は、その基点は何だったかはもう思い出せない、そのくらいに些細な、いうなればボタンをかけちがった程度。 いじめられ、疎まれ、そして犯され殴られ踏み躙られる、何処にでもある弱者の、ただひとりだけの地獄。 それを生き地獄だと、同情する余人は言ってくれるだろう。だが、言ってくれるだけだ。 ひとつの国どころか、地方、いや市、町、区――そのぐらいに地域を切り刻んでも、そのどこにでもあるような、安く陳腐な生き地獄。 転じて世界を見渡せば、貧困にあえぐ国、戦火に晒された国に起きる多くの悲劇に比べれば、なんと陳腐で矮小。 そんな程度、五時のワイドショーのネタにすらならない。 「自分だけが、不幸だと――」 ナオの言葉に、 「思うはずないじゃない?」 そう彼女は即答する。 「だから知らしめてあげる。世界に。華菜のだけじゃない、みんなの苦痛、苦しみ、悲しみ、屈辱を。 みんなの不幸を、平等に。そう、これが私の、華菜への愛! 私の愛が世界を包む、私の棘で抱いてあげる! あは、あはははは、あははははははははははははははははは!!」 笑いながら、影へと溶ける。影へと消える。 その前に、直は問いかける。 「お前は、何者だ――?」 【case3 Wladislaus Drakulya】 (死にたくない) 闇の中、 彼はそう考えていた。 彼は死んでいる。すでにこの世のものではない。 だが、何故彼はそう思うのか? 死者はものを考えない。死者は語らない。死者は歩かない。 だがそれでも―― (死にたくない) その思考が、体を焼く。 生への渇望、命への羨望が狂気となって荒れ狂う。 (死にたくない) 彼にもはや体は無い。在るのはその執念のみ。 それでも、手を伸ばす。渇望を形に。憎悪を姿に。 ただ。 それはただ―― (生きたい――!!) それを聞き届けたのは、誰か。 それは誰でもない誰か。それは誰でもある誰か。 それは語り部。 それは道化。 彼はその声を聞き届け、そして彼に賛辞を贈るのだ。 然り。 然り。 然り! 素晴らしい。おお、おお……なんと素晴らしいその渇望か! 生きたいというのは生物の本能。 故に寓話はそれを叶えない。 だが。だが、だが! 死してなおのその渇望。嫉妬、羨望、憎悪―― ここまでの感情が渦巻くそれはもやは、本能という陳腐な言葉では語れない。 ――衝動である。 素晴らしい。人は此処まで狂えるのか。 憎み、焦がれ、それはまるで愛にも似た憎悪。 よろしい、ならばいまこそ君の物語は始まる。 生に焦がれる物語。 死を拒絶する物語。 受け取るがいい。 さあ、貴方は。貴方様は―――― その名は――――!! オメガサークル、とよばれる秘密結社がある。 異能者研究の機関だ。 故に、異能者の死体が出れば、それを非合法な手段で回収する事も多い。 葬儀屋に手を回し、死体を摩り替えたり。 学園の“掃除屋”にメンバーを潜入させ、そして横流しさせたり、である。 「うーわ、こりゃアレだな。使えねぇ」 研究員の一人が、ソレを見てぼやく。 双葉学園の商店街炎上。 その事件の犯人と呼ばれる異能者。 被検体Nβ207。 彼の所属していた組織の名は、スティグマ。コードネーム……ギガフレア。 だがその名ももはや意味を成さない。 何故ならソレは―― 「ただの灰じゃねぇの。遺伝子調査もできねぇよ、これじゃ」 「ったく。こんなゴミ、もって来たの誰だ」 ぼやきながら、研究員はその黒い燃えカスのファイルにボールペンで雑に書き込む。 被検体Nβ207、ロスト。 役立たず、と。 「次のNβ208……今度は女か。うわ、もったいねぇ」 研究員は頭を大げさに抱える。その遺体が美少女であったからだ。 「くそー、生きてるときにお目にかかりたかったぜ」 「いいじゃん別に。外傷なし、データによると死因は遠距離攻撃による心臓麻痺、ってことだし……」 「なるほど」 研究員達はにやりと笑いあう。 「バラす前に、楽しめるって事か」 「まったくだ。さっきのゴミとは大違いだ、死んだ後も役に立ってもらわないと」 ギガフレアだったモノに嘲笑と罵声を浴びせながら、研究員たちは少女の遺体、その乳房に手を伸ばす。 「へへへ……ん?」 その時、研究員達は異常に気付く。 薄暗く青白い研究室に、赤い光が見える。 それは研究員達の後ろから。 「何、だ……?」 彼らは振り向き、そして――見てしまった。 燃えている。 灰が燃えている。 その火種が大きくなり、炎を上げ、そして人の姿を取り始める。 「ひ、なんだ……なんだこれは!」 研究員は非常ベルを押す。 鳴り響く警報。シャッターが下りる。 だが―― シャッターに穴が開く。赤い紅い、杭のように凝縮された炎が、超硬合金とセラミックの多重積層シャッターを突き破る。 「ひいいいいっ!」 そして炎が人の形をとる。 その頭部と思われる部分に張り付くは、仮面。 真紅の仮面。炎の色、血の色。赤い仮面。 そして、その仮面を貼り付けた顔が――口を開ける。 炎の牙が、研究員達を飲み込んだ。 彼は、生きたかった。 その異能、炎とはすなわち、命の炎。 彼は、羨ましかった。 生きている人間が、死した今、その羨望はさらに燃え上がる。 彼は、憎かった。 世界の全てが。 そして、死した今――死から蘇った今、その憎悪と殺意は、生きる全てへと向けられる。 炎にその施設は飲まれる。 研究員達、警備員達、そしてそこにいたオメガサークルの異能者たち―― 誰も彼もが一切合財の区別も無く、その血を啜られ、肉を燃やされて死に絶えた。 その死と灰の世界で、それは笑う。 自らの新たなる生誕を呪う。 この忌むべき世界に再び、一個の存在として立ったその悲劇を歓喜する。 彼の物語を称えよう。 「――謳え! 命を憎む物語を! ――燃やせ! 世界を焼き尽くす炎で!! 僕は戻ってきた! この憎むべき世界に! そうだ、そうだ、そうだ! これが僕の物語!!」 彼は笑う。 その名は。その物語は。その仮面は――“吸血鬼ドラキュラ”。 ヴラド=ギガフレア。 紅蓮の串刺し公。 「待、て……!」 息も絶え絶えな異能者が、なんとか声を絞り出す。 もはや彼の残された命は少ない。 数瞬後にも、尽きてしまうだろう。 だからこそ、せめて――自身の疑問を晴らしたかった。 何だ、コレは。 何なのだ。 「……お前は、何者だ――?」 「お前は、何者だ――?」 その問いに。 仮面のラルヴァは、答える。 「――寓話。寓話演者《グリムアクター》」 或いは、 「寓話人形《グリムドール》」 そう、手にした自らの力を、あるいは自らの存在を誇るように。 「物語に成り得た、現実」 或いは。 「現実を侵した物語」 彼らは―― 「我らは――」 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
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■東京マーブルチョコレート 「マタアイマショウ」作画監督補佐(佐々木啓悟と共同) ■RD 潜脳調査室 作画監督 23(小村) 作画監督補佐 11 17 24 ■戦国BASARA 作画監督補佐 3(萩) 原画作監補佐 11(徳・片・石) ■君に届け キャラクター設定協力(中村章子、長谷川ひとみ、井川麗奈と共同) 小物設定 作画監督 2 12 22(長) 作画監督補佐 25(井・長) ■君に届け 2ND SEASON 小物設定(長谷川ひとみと共同) ■新妹魔王の契約者 BURST 作画監督補佐 5(合・森・藤・大) ■関連タイトル 君に届け 1ST SEASON BD-BOX 戦国BASARA 其の壱
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【登録タグ W 初音ミク 曲 立秋】 作詞:立秋 作曲:立秋 編曲:立秋 唄:初音ミク 曲紹介 立秋氏の11作目。 ミク誕生日おめでとう!ってことでこんな曲作ってみました。もし良かったらドスドス四つ打ち聞いてあげてください。 素敵なイラストはピアプロよりぽんたろさんからお借りしました。ありがとうございます! 季節を壮大に間違っているのは仕様かもしれません。眠かったからかもしれません。 ちょうど僕も音楽初めて1年になりました 歌詞 (ピアプロより転載) 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい声があるよ ずっとずっと言えなかった 臆病なあたしだからずっと 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい歌があるよ いつもわがままばっかりだけど ここでこうして歌うよ ずっと 君に伝えたいことがあるよ 君と奏でたい音があるよ 幸せな気持ちなら ずっと 悲しいときでも ずっと 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい歌があるよ ずっとずっと言いいたかった 泣き虫なあたしだから 空の色 海の音 何もかも 優しくて 君に伝えたいことがあるよ 君に聞かせたい声があるよ まだこんなヘタクソだけど 絶対負けないから ずっと 君に伝えたいことがあるよ 君に聞かせたい歌があるよ たまに困らせたりもするけど ここでこうして歌うよ ずっと 君に伝えたいことがあるよ 君と紡ぎたい音があるよ 喜びも愛しさも ずっと 切なさも寂しさも ずっと 君に伝えたいことがあるよ 君に聞かせたい声があるよ いつかちゃんと歌ってみせるから 傍においてください 君の色 君の音 優しくて 嬉しくて 何気ない時間でも ちゃんと あたしのこと見てくれて ずっと 言いたいと思ってた こと 今日こそはちゃんと 言うの 好きだけじゃ足りないね きっと 他に何かないかな もっと 君のためになるような こと 君がびっくりするよな ななな アニメギャルゲフィギュア えっと そんなものたちよりも もっと 喜んでもらえる ぎゅっと 抱きしめてもらえる そんな 何かを探してみても うんと 見つからないままで 今日を 迎えてしまったの あーもぅ こんなあたしでごめんね でも ひとつだけ 歌わせて 君のため この歌を 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい声があるよ ずっとずっと言えなかった いきなりこんな歌ごめんね 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい歌があるよ いつもわがままばっかりだけど ここでこうして歌うよ ずっと 真夏に冬の歌歌うの こんなラブトランス歌うの 周りなんて関係ないでしょ 君と二人で作る音だから 君に伝えたいことがあるよ 君に届けたい声があるよ ずっとずっと言いいたかった 臆病なあたしから ありがとう これからも よろしくね きみと… コメント 制作ペース速いw追加乙です! -- 零 (2016-10-03 15 15 59) 名前 コメント
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涼宮ハルヒの憂鬱 第20話 1/3 ★このページをお気に入りに追加! bookmark_hatena このページに登録されているタグ 涼宮ハルヒの憂鬱アニメ 無料 動画 YouTube wiki ひとこと言う 名前 YouTubeアニメ無料動画@Wikiのトップページへもどる 合計の人気ページランキング 君に届け デュラララ!! 『低燃費少女ハイジ』まとめ 第1話~第5話 イナズマイレブン けいおん!! バカとテストと召喚獣 あたしンち 四畳半神話大系 WORKING!! Angel Beats! 化物語 けいおん! 君に届け 第1話「プロローグ」 アクセス解析ログ けいおん! 第14話(番外編2)「ライブハウス!」 刀語 ぬらりひょんの孫 リクエスト・視聴不可・不具合報告 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 君に届け 第12話「恋愛感情」 昨日の人気ページランキング 荒川アンダーザブリッジ OP「ヴィーナスとジーザス」Full らき☆すた 第14話「ひとつ屋根の下」 【マイムマイム】マサオミマイム【紀田正臣】 君に届け 第13話「恋」 屍鬼 コメント/ひだまりスケッチ×365 第11話「9月28日 パンツの怪」 デュラララ!!ラジオ 略して デュララジ!! 第1回 デュラララ!! 公式パーフェクトガイド けいおん!の歌のシーンを集めてみた 今日の人気ページランキング にゃんこい! 第4話「美しい人」 おまもりひまり 第2話「海ねこスクランブル」 クレヨンしんちゃん シロをレンタルするゾ
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